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伊良部高3生への講話・追伸・感想5

伊良部高3生への講話・追伸・感想52月2日  伊良部高校で島人講話が3年生相手にあり、呼ばれた。
私に与えられたテーマは、「伊良部漂泊」。
漂泊とは旅で、芭蕉は人生は旅と言った。
人生の中で伊良部に漂泊して、先日の旧正月で11年、12年目を迎えた。
人生と伊良部を語れと言う事である。
↑話の最後のほうで、「ブログに載せるよ」と言って、撮らせてもらった。
生徒も読むと思うので、語りきれなかった事も含めて、講話内容を記す事にする。

「人生の転機は22歳と44歳にあった。
15歳から心が定まらない日々を送った。
受験校に入り、記憶力と公式応用力をテストされ、気ばかりあせる日々を送っていた。
同学年生25名が職員室を封鎖し、退学していったが、私は何もできなかった。
二浪して、大学に入り・・・、
22歳の時、障害児の中に心を感じ、心がよみがえった。
物の味、自然の美しさ、人の楽しさ、文学の心が感じられるようになった。
何事にも心から対していこうと思った。
養護学校に9年、中学校に10年勤めた。
子どもたちの個性と出会い、共に焼き物を作り、劇を作り、文学を味わった。

伊良部高3生への講話・追伸・感想544歳の時、教員の身分を離れ・・・、
身ひとつで、伊良部島に漂着した。
君たちが小二の時だ。
自然と人が豊かな島だった。

その中、こんな事があった。
山の仕事をしていて、休み時間、飲み終えた缶を山に捨てろと主に強く言われて、
仕方なくやったのだ。
その時、決意した。
「やりたくない事はやらない。」「やりたい事をやる。」

ゴミ拾いは、その後、いらぶ探検隊の活動につながり、
美化後の場の輝き、自然の地球の深い美しさに心動かされている。

仕事では、5年間、キビ刈りで心身を鍛えられた。
畑では、無農薬栽培を試行錯誤し、アロエベラに出会い、やがてハーブの個性に魅せられた。
この3年は、ハーブの加工品作りに心を傾けた。
ローゼル製品5種、ハーブペースト6種、ドライハーブ8種、ハーブ染め多種・・・
講話中、現物を見てもらい、県から表彰されたローゼルコンフィチュールをまわし、味わってもらった。
全製品の試食は、2月22日のロマン海道マラソン大会の出店でできる。是非、来て欲しい。
当日は私はハーフを走るので、その間、出店を手伝ってくれる人がいれば申し出て欲しい。好みの製品を差しあげたい。
また、ローゼルの栽培法・加工法は現在、宮古テレビ行政チャンネルで毎日5回ほど、
15分番組で2週間放映しているので見て欲しい。
親しんでいただき、やがて地場産業化したい。

嫌と思ったことは、8年前、町議会で島の空港の軍事化の決議をあげた事だ。
その年に9・11のテロがあり、やがて戦争が始まった。
そして、忘れもしない4年前、基地化要請町議会決議があがり、説明会で住民の怒りが爆発した。
その時、君たちは中二で、会場にいた人も多かっただろう。
翌日、軍事化反対町議会決議が圧倒的多数で成った。
平和を守る、島の人の心の強さを感じた。

この1月5日、島で成人お祝いがあり、知り合いの家々にお祝いにいった。伊良部高3生への講話・追伸・感想5
今日は成人たちは部落の自分の家々を深夜までまわっている事
内地で大変な思い・事をしても島に帰ってきて、アグ(同級生)といると心が洗われる事、
中年の成人式・ミャークヅツを楽しみにしている事、
アグにはえらいも何もなく平等で、一生のつながりである事、
を聴いた。
人こそ、島の宝という事だ。
昨年10月宮古養護学校から実習生が来て、畑で収穫してはこれらの製品を一緒に作った。
その子は、中学までは君たちの同級生だったMさん。
彼女はこんな事を言っていた。
「本当は養護学校には行きたくなかった。伊良部高校に行きたかった。みんなと一緒に過ごしたかった。」
Mさんは目の奥の輝きの強い、心根の優しい子だ。
私が言うまでもないが、これからの一生、アグの付き合いの中にMさんもしっかり入れてあげて欲しい。

もうすぐ、卒業。
ほとんどの人が島を離れることになる。
どうか、いい体験をされ、時に島の宝を思いおこされたい。
島にも帰ってこられたい。
何よりもあなたたちには、帰る島・家がある。
仕事がしたくて、なければ、仕事は創り出すものでもある。
私も新しい仕事作りに挑戦している。
私の前に話した宮城さんも苦労されて介護の仕事をつくり、堂々と取り組まれている。
家を改装し宿を作ったり、
修行をしてきて料理屋やからだほぐし屋や家つくりや新会社を営み始めた人もいる。
ハーブの仕事にやる気のある人がでてきて、
Mさんも含めて、一緒に働けるようになったら、
それこそ、私が求めてきた道だ。
私のブログを時々見て、島の自然の事、仕事の事等を見て、コメントを交換できたらうれしい。

島は海に囲まれ、どこに行くにも20分以内、狭い故、
自然・人間・家族・仕事・平和等すべてが身近で、
また、奥深い。

今、お礼の言葉を代表の方からいただいて、
その言葉が、あらかじめ用意されたものではなく、
私の話を聴いて、でてきたものだったことを大変うれしく思う。
こういうことが大切なんだと思う。
心で感じて、心をこめて、つくりだす事が。

どうか、心ある道を歩んでいかれて下さい。
いい出会いでした。
応援しています。」

伊良部高校から生徒の感想が届いた。
少しずつ、紹介していく。
教員時代から、生徒の生の言葉は大好きだ。
なんて、まっすぐな子たちが、育っているんだろうと思う。


「たくさんの種類のハーブを栽培していて、すごい。ローゼルジャムは固まりを見て少しとまどいましたが、食べてみると とてもおいしかったです。」

「伊良部で新しい味が生まれている事に感動しました。」

「私も近角さんのように、いろんなことに挑戦して、人生を楽しみたいと思いました。」


「伊良部島の素晴らしいとこを、最大限に生かしていくために、
ゴミのポイ捨ては絶対にやめようと思った。」

「島でこんなにいろんなものが作られている事を初めて知った。
自分は内地に出ても、最終的には島に帰ってきて畑仕事をやると思うから、
いろんなことを知れてよかった。」

「知らなかった伊良部島の素晴らしさを知った。自衛隊反対での動き、
伊良部島の自然について知る事ができた。」

「自分の生まれ故郷について改めて認識する事になった。
自分は進学志望で島を出ることになると思いますが、
きちんとやりたいこと、すべき事をして、すっきりとこの島に帰って来たいと考えています。」

「一番驚いたのはハーブは酒にまぜれるということです。どんな味か知りたいです。
まだ未成年なので、成人式にぜひ飲んでみたいと思いました。」


「ハーブの事がよくわかった。センダングサの花で染め物ができる事を初めて知った。
とても良い色だと思った。」

「私は料理が趣味なのですが、ローゼルの赤はとてもキレイで、天然の着色料として、
今すぐ使いたいくらい欲しいです。」

「伊良部の事が本当に好きだという事が伝わってきました。」

「ぜひ世界でも良い評価をもらえるような製品を、
この伊良部島から発展していってほしいと思います。」

「来年から自分もやりたい事を精一杯やっていきたいと思った。」


「人と人のつながりの大切さを改めて知る事ができた。
沖縄本島に行っても、地元の友達との友情を大切にしていこうと思います。」

「ローゼルにはいろんな可能性があって、これから伊良部を支える農作物になっていくだろうなぁと思いました。
何もない所から、新しい事に挑戦する事は大変だし、すごい事だと思った。アグは大事だと思った。」

「ベルギーに向けて頑張って欲しいです。」

「人生には転機があって、その転機をどう活かすかによって人生が変わると思った。」

「“自分が正しいと思ったこと、やりたいことを、一生懸命やる”という考えに感動しました。
将来、自分の描く理想に少しでも近づけるよう、がんばっていこうと思います。」

「新しい発見ができてよかったです。HP見に行きます。」


案内をいただき、3月1日、伊良部高校の卒業式に出向いた。
来賓席に案内され、恐縮したが、生徒たちが間近に見られ、
一人ひとりが、実に心のこもった丁寧なお辞儀をするのには感心した。
感想文を書いた各人の姿も確認でき、有難かった。
アグ(同い年)の玉津校長は「己の立つところを深く掘れ、そこに甘き泉あり」と話された。
いい式だった。

再び、生徒感想。


「ハーブの植物に対して、必要な加工をすることが大切と知りました。」

「ハーブベラのベラと言う言葉には、真実・持ち味・個性という素晴らしい意味があることが分かった。」

「島に何年も住んでいるのに行った事もない所があって,1回は行こうと思います。」

「島の発展のために色々な形でがんばっている人がいるんだと思った。
もっと島のPRとか発展のためにがんばってほしいです。」


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この記事へのコメント
宮古の市場では何度かお会いしてはいたのですが、はじめておたよりさせて頂きます。いつも感慨深い近角さんのブログを訪ねることが楽しみです。
今日は私もいっしょに講和を聞いたような気になり、うちあたいしたり、感動したりで涙であたたまりながら読ませていただきました。ありがとうございました。わたしも頑張ろう!楽しんで!と強く思いました。でわ。また楽しみにしています=^・^=
Posted by lunapiena at 2009年02月05日 02:12
☆  lunapienaさん

ありがとうございます。
読みこんでくださって、うれしいです。
妻が勘が良くて、きっと、tukimomoの人と言う事から、
HPはじめて、見させていただきました。
宮古島で展開される、食の世界の深さ、豊かさに驚きました。
いつか、食べさせてください。
家のハーブ製品はどんなでしょうか。
とても、世界が共振するようです。
お会いしたのは、わかりませんでしたが、
いつか、お会いしましょう。
Posted by ちかさん at 2009年02月05日 22:04
学校に行かれたお話、なぜだか、眠れない夜に読んだので、
胸にじ~~んと来て、涙してしまいました。
Posted by I at 2009年02月10日 00:05
☆ Iさん

私が生徒たちに最も伝えたかった事、
「何かになる」事も大切だけど、
「この世界に生まれてきた自分を素直に認める事」
「自分の感覚に目覚める事」
ではないかと思えてきました。
そうすれば、自然とも、人とも、つながれるし、
物作りの地平もひらけてきます。
とぎすまされた感覚で物作りの仕事に楽しんで取り組んでこられたIさんに、
出会えて、
こんな言葉もいただいて、
ほんとにうれしいです。
Posted by ちかさんちかさん at 2009年02月10日 07:10
伊良部高校での講演は、内容もさることながら、そのような内容(下地島
空港等)を、堂々とはなせる学校との信頼関係が作れていることに、感服
しました。
そして、そのような内容を正面から受け止めている生徒の感想が、印象に
のこりました。

悠君、もう幼稚園に入園なんですね。おめでとうございます。
伊良部で園児が25名とは、少々驚きでした。
子供たちを見ていると、平和な未来であってほしいと、痛切に思いますね。
親の責任、大人の責任は本当に大きいですね。
Posted by S at 2009年04月19日 09:00
Sさん

伊良部高校とは探検隊の活動も共にしてきました。
今回も話す機会を下さいました。
外から来た人の話も聴こうとの校長先生の意向です。
生徒の感想をとって下さり、
後日、そのまま下さって、
生徒の言葉・感性に触れることができた事も、たいへん有り難かったです。
50分話しただけでは、わかりませんでした。
ご指摘の通り、正面から、話を受け止めてくれています。
素晴らしい生徒たちです。

空港の軍事化の問題は、全体の話の十分の一位の比重でした。
政治的な話というより、
暮らしの話としてしました。
島を守る意識で立ち上がった住民の勇気ある動きを、
誇りを持って再確認したかったのです。
おっしゃるとおり、平和を守る事は、子どもに対する大人の責任でもあります。あの集会では、大人の姿をしっかり子どもが見ていました。

それは今につづく、ですね。
そして、時代は、島も、世界も、自然保全・共生・いいものつくりの時代に入ってきましたね。
共にやっていきましょう。
Sさんは、うれしい同志です。
Posted by ちかさん at 2009年04月22日 03:46
 
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